2009年5月6日(水)18:32

チェコの上院はリスボン条約批准を承認

プラハ(AP)

EU改革リスボン条約は大きな障害を乗り越えた。数ヶ月の議論の末、チェコの上院は水曜日、EUの行動能力を高めるリスボン条約を承認した。しかしヴァーツラフ・クラウス大統領は批准文書の署名を拒否し、あらためて政府を欺いた。チェコは現在輪番制のEU議長国を務めている。

「リスボン条約は死んだ」と欧州統合批判論者のクラウス大統領は述べ、何人かの上院議員がリスボン条約に対する第二の憲法訴訟を起こすと発表したことを指摘した。常にリスボン条約を厳しく批判してきたクラウス大統領は、まず判決を待ちたいと述べた。チェコの憲法裁判所はすでに昨年11月、リスボン条約を憲法違反とする訴えを退けている。しかし条約反対派は新たな論拠に基づく再度の訴訟を検討している。

チェコ上院は大差の賛成で承認

上院はリスボン条約を賛成54票対反対20票の意外な大差で承認した。しかし票決の行方は、与党市民民主党(ODS)内に根強い反欧州統合論があることから、最後まで分からなかった。反欧州統合派が優位に立ったように見えたこともある。というのは3月には2名のODS議員が、ODS党首でもあるミレク・トポラーネク首相の不信任案賛成に回ったからである。首相は不信任案の可決を受けて、EU議長の任期中に退陣を余儀なくされた。しかしその直前、チェコの下院はリスボン条約の批准を承認していた。

退任を控えたチェコのアレクサンドル・ヴォンドラEU担当相は水曜日、クラウス大統領の姿勢を厳しく批判した。上院で批准が承認されたからには、「もはやチェコの批准手続きの公式完了を妨げる要素は何一つ存在しない。公式の完了とは大統領の署名である」とヴォンドラEU担当相は述べた。

クラウス大統領の署名だけでなく、ポーランドのレフ・カチンスキー大統領の署名も行われていない。またドイツではリスボン条約がドイツの基本法に一致しているか、これから連邦憲法裁判所が判断を下す。さらには仕切り直しとなるアイルランドの国民投票で批准が承認されるかも、予断を許さない。リスボン条約はEU加盟全27ヶ国で批准されなければ、発効に至らない。

メルケル独首相は票決を大きな前進と評価

ドイツのアンゲラ・メルケル首相はチェコの上院の批准承認を「大きな前進」と評価した。これで欧州は2007年に議長国ドイツのもとで合意に達した改革条約の「承認と実現」に大きく近づいた、とメルケル首相は語った。

欧州委員会のジョゼ・マヌエル・バローゾ委員長も安堵の表情を見せた。「これはたいへん良いニュースである」。「この票決はチェコ共和国が民主性、効率性、統一性を高めた欧州連合を支持していることを現すものだ」、とバローゾ委員長はブリュッセルで述べた。

原題:Tschechischer Senat billigt EU-Reformvertrag




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